社長のエッセイ6

● 『 私の会社  暗中模索編 』

 『胎動編』・『立志編』とご案内してまいりました『長編? 自伝的会社案内』もいよいよ『暗中模索編』に入ってまいりました。
 学校でたてのペーペーが いよいよ自動車販売業界という大海原に船出いたします。 
 どんな結果に相成りますことやら もうしばらくのお付き合いをお願いいたします。

 藤代町の鈴木忠さんを記念すべきホンダ車のお客様の第一号として自動車販売を始めました。 気持ちも新たにということで 店の名前も秋山自動車整備工場から秋山モータースに変更しました。
 昭和43年当時 茨城県でホンダN360を販売していたのは 自転車やさんはもとより ウチみたいな自動車整備工場・自動車板金工場・中古車販売業などの同業者さんを始めとして、タバコ屋さん・鉄工所・旅行代理店 その他いろんな商売の人が売っていたらしいんです。.話に聞いたところ 茨城県全体で1000件以上登録してあったらしいんです。
 その販売店を管理していたのが 水戸に 本田技研工業株式会社・水戸営業所、土浦に 本田技研工業株式会社・土浦営業所がありました。 そこに販売店担当の人がいて 通称"営研マン"と呼ばれておりました。最初にウチの担当をしてくれた人が 和田 作太郎さんという人でした。(私はひとりっ子でしたから、兄貴ができたように喜んでました。)
 この和田さんが 私に営業のイロハを教えてくれたんです。(もう何十年も会ってませんが 先日 ひょんなことからNHKの番組に出演しているのを拝見しました.現在は自動車評論家をしているらしいです.何かの折がありましたら もう一度お会いしたい人の一人です。)

 その和田さんが私に言ったんです。
 「榮ちゃん 榮ちゃんとこのユーザー何人いるの?」
 「ユーザーって何ですか?」
 「ユーザーっていうのはねェ 榮ちゃんのところでクルマを買ってくれたか よく修理や車検に来てくれるお客さんのことだよ.」
 「それじゃ 俗に言う お得意さんのことですか?」
 「そうだよ。今何人ぐらいいるの?」
 「どうやって数えたらいいんですか?」
 「そうだなあ 車検の案内を出している人は何人ぐらいいるの?」
 「車検の案内ってどうやってするんですか?」 
 「エ? 毎月はがきで車検の案内出してないの?」
 「出してませんよ そんなの!」
 「じゃ お客さんが車検のときはどうするの?」
 「お客さんが勝手に持ってきてくれるんですけど。」
 「そんじゃだめだなァ これからの時代はユーザーを大事にして 代替えしてもらわなくっちゃ!」
 「代替えってなんですか?」
 ( もう 和田さん 半分あきれてましたけど 根気よく教えてくれました。)
 「代替えっていうのは お客さんが次のクルマを乗り換えるときに また榮ちゃんのお店から買ってくれることだよ。」
 「わかりました。.そんなお客さんをいっぱい増やせるように頑張ります。」
 「よーし そしたら お得意さんの数は何軒ぐらいあるの? そうだ 年賀状や暑中お見舞いを出しているお客さんは何人ぐらいいるの?」
 「ちょっと待って おふくろに聞いてくっからね。」
 それでもって 母に毎年出す年賀状の数(親戚・同業者の付き合いは抜いて純粋なお客さんだけの数)を教えてもらいました.
 みなさんは 何軒ぐらいのお得意さんがあったと思いますか?
          300人? 400人? 500人? とんでもありません!
 ウチは昔から 貧乏というのを絵に書いたような貧しい整備工場でしたから そんなにお得意さんがいる訳がありません。それは とっくの昔に覚悟していたんですけれど いざ現実を見てみると ほんとにビックリしてしまいました。
 ナント! 43軒だったんです。
 さすがの和田さんもビックリして 一言! 
 「榮ちゃんとこ これだけのお客さんで よくご飯食べてられたねェ!」
 変なトコロで感心されちゃいました。
 それからですョ お客さんを増やすのにはどうすればいいかを真剣に考え始めたのは。今考えれば とんでもないノーテンキですよねェ。
(つづく)


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